バイトの給与にも、さまざまな税金がかかっていることをご存知でしょうか。
所得税、健康保険、年金、住民税などといった税金は、常に私たちの生活に関係しているのです。
今回はそういった税金についての知識を学び、実際に支払っている内容をチェックしたいと思います。
源泉徴収や年末調整といった制度についても解説してまいりますので、これまで知らなかった知識をこの機にまとめて吸収していきましょう。
私たちの普段の生活には、あらゆる税金が発生しています。
バイトをして稼いだお金に対しても、所得税をはじめとしたさまざまな税金がかかることになっているのです。
しかし忙しい毎日にかまけて、その基本的な情報さえ知らずに過ごしてしまってはいませんでしょうか。
少しでも税金について詳しくなれるように、こちらではバイトの給料に関係する源泉徴収や年金などの概要をまとめていきます。
所得税って何?源泉徴収って意味あるの?という疑問は、この記事を機にすべて払拭していきましょう。
バイトでも税金について知っておくべき理由
バイトなんだから、税金について知らなくても問題ないのではと思われるかもしれません。
しかしバイトのうちにこそ、税金など難しい問題について真面目に向き合っておくべきだといえるのです。
その理由はいくつかあり、どれも自分自身の将来に大きく関係する内容となっています。
いい加減な知識のまま年月が経ってしまうと、後から後悔することになるかもしれませんよ。
まずは以下から所得税など税金に関する知識を蓄えておいた方がいいと思われる、その理由をチェックしてみましょう。
自身の給与がなぜ減るのかを理解できる
所得税などの税金は、基本的にバイトの給与から天引きされることになっています。
そのため多くの場合は、実際に働いた時給よりも少ない給与が手渡されることになるのです。
初めてバイトの給与を受け取ったとき、自分で計算していた額よりも少なくて驚いた人もいるかもしれません。
しかしそこには税金という、明確な理由があるのです。
その理由に納得することができないと、毎月少なくなっている給与にただイライラするだけとなってしまうでしょう。
自分の給与がどういった経緯でその金額になっているのかを知るには、税金について学ぶ必要があることがわかりますね。
社会人になると必ず関わる
学生の間は、消費税など一部の税金しか自分の生活と関係しないかもしれません。
しかしいずれ社会人になれば、いやでも各種税金と関わることになるのです。
働いた分から計算される所得税、社会保険にかかるお金、その他さまざまな税金が常に自分の周囲に発生することになります。
そのときになって何の知識もないと、トラブルを引き起こしたり損をしたりする原因となってしまうでしょう。
だからこそバイトの段階で具体的な知識を身に着けて、税金に困らない地盤を築いておくべきだといえるのです。
社会人になってからだと、世間体が気になってなかなか税金の基本について質問しづらくなる可能性もあります。
バイトのうちでなければ気軽に聞けないこともたくさんあるので、ぜひこの機に税金の基礎をマスターしておきましょう。
健康保険など人生に関わるものもある
税金という括りの中には、健康保険や税金といった人生に深く関わるものもたくさんあります。
そのため税金の知識を蓄えることは、自分の人生について真剣に考えることにもつながるのです。
正直税金に関する話は難しい内容を含むことも多いので、なるべく避けて通りたいという人も出てくるでしょう。
しかし人生に大きな影響を及ぼすことが理解されれば、高いモチベーションを持って勉強することができるのです。
自分の人生を豊かにするきっかけとなるかもしれないので、バイトのときから税金について知り尽くしておくことをおすすめします。
税金には種類がある
税金と一言でいっても、そこにはいくつかの種類があります。
バイトに関係するものも同様で、給与に対してさまざまな税金が発生していることがわかるでしょう。
種類とその特徴を理解することが、税金に詳しくなる第一歩だということができます。
まずは以下の内容をチェックして、税金の種類をそれぞれ把握することから始めてみましょう。
所得税
バイトをして得た給与には、その分だけの「所得税」が発生します。
稼いだ額に対して課税されるこちらの税金は、収入を得るかぎりは必ずついてくるものとなっているのです。
年間の収入から控除を差し引いた額を参考とし、それに対して定められた税率をかけることで所得税を計算することができます。
税率は収入の金額によって変動し、5~45%の幅から適用されるのです。
基本的に給与が多くなるほど、所得税の計算に使われる税率は大きくなることでしょう。
所得税の控除には「基礎控除」「医療費控除」「社会保険料控除」「配偶者控除」など、さまざまな種類があります。
これらの控除の中から自分に関係するものを当てはめることで、納めるべき所得税を導き出すことができるのです。
計算式で表すと、「課税所得(給与から控除を差し引いた金額)×税率」が所得税の一般的な計算方法となります。
復興特別所得税
現在給与所得に対しては、「復興特別所得税」と呼ばれる税金がかかることになっています。
これは東日本大震災で被災した人々の支援に使われる税金で、今のところ2037年まで課税される予定です。
税率は一律で2.1%となり、所得税額に対してその数値がかけられます。
所得税とはまた別で支払うものとなっているので、名前は似ていますが別物としてとらえるようにしましょう。
住民税
毎年6月くらいになると、個人事業主の人が「住民税」の支払いに追われる様子を見たことがあるのではないでしょうか。
住民税もまた所得税と同じく、バイトの収入に対してかかる税金となっています。
所得税とどちらか一方ではなく、必ず両方を納めることになるので、あらかじめ意識をしておくといいでしょう。
住民税は「都道府県税」と「市町村税」の2つを含む形となっていて、それぞれ住んでいる場所に納めることになります。
前年の所得に一律の税率をかける「所得割」と、自治体によって定められた金額を納付する「均等割」によって計算され、収入が大きいほど住民税も高くなるのが基本です。
多くの場合1年間の収入から所得控除を差し引いた額の10%前後になるといわれているので、だいたいの金額を確認したいときはその方法で計算してみるのもおすすめできます。
年末調整と源泉徴収
税金について知るのなら、年末調整と源泉徴収のこともチェックする必要があるでしょう。
どちらもバイトの税金に大きく関係する作業ですが、基本的に自分が直接行う必要はないため、馴染みがないという人も多いはずです。
しかし年末調整も源泉徴収も、税金を正しく収めるためには欠かせない制度となっています。
例え今は知らなくて済んでいるとしても、将来確定申告などを行うことになった場合、それらの知識が重要なものとなるでしょう。
身に着けておいて損はしないので、この機に基本的な税金の知識と合わせて確認しておくことがおすすめです。
源泉徴収は雇用主が給与から所得税を引いて給与を支払うこと
「源泉徴収」とは、バイトの雇用主が所得税などの税金をあらかじめ給与から差し引いておく制度のことをいいます。
基本的に毎月の給与から天引きされることになるため、受け取っている給与は既に税金が取り除かれた分となっているのです。
個人事業主など雇用主がいない状態で働いている人とは違い、バイトはこの源泉徴収によって自動的に税金の計算と支払いが行われます。
多くの場合特別な説明や通知がないため気づきにくいですが、給与明細を見ると源泉徴収をされていることがわかるでしょう。
源泉徴収のおかげで税金の払い忘れがなくなり、面倒な計算や手続き等も行わずに済むのです。
バイトを含めた労働者にとっては、こういった源泉徴収の特徴が大きなメリットとなるでしょう。
年末調整は払う必要がなかった所得税を還付(戻してもらう)こと
源泉徴収によって支払われる所得税は、その1年間の給与を予想した金額から計算されています。
そのため実際に支払うべき金額よりも、多く納めてしまうということもあり得るのです。
そういった源泉徴収の払い過ぎを確認し、不必要だった分を戻してもらう制度を「年末調整」と呼びます。
年末調整はその名の通り年末に行われる税金の調整作業で、1年間の所得を基に正しい支払額が計算されるのです。
手続きはバイト先が行ってくれるため、こちらから何かアクションを起こす必要はありません。
もし源泉徴収と実際の支払い額との間に差異があった場合でも、後に還付されるものをただ受け取るだけでOKです。
目立ったリスクもないため、バイトにとっては大変ありがたいシステムだといえるでしょう。
年末調整がない場合は自身で確定申告を
バイトを途中で辞めてしまったときなど、場合によっては年末調整が行われないこともあり得ます。
年末調整なしで源泉徴収された所得税を還付してもらうには、自分自身で「確定申告」を行う必要があるでしょう。
慣れないうちは難しく感じるかもしれませんが、確定申告の知識は将来的に身に着けておいて損はないものとなります。
この機に税金の基本と合わせて、確定申告の流れを確認しておくのもおすすめです。
確定申告は個人事業主のためのものと思われがちですが、実際にはバイトを含めた多くの人に関係する制度となっています。
税金を上手に扱うためにも、1度は確定申告の知識に触れておくといいでしょう。
バイトでも必要!年金と健康保険の知識
バイトとして働いていると、収入によっては「扶養家族」に入ることができます。
そのため自分で年金や健康保険を支払っていないという人も、自然と多くなることでしょう。
扶養家族には「扶養控除」と呼ばれる特典があり、社会保険や住民税・所得税を節税できることは有名ですね。
しかしこの扶養控除も、働き方によっては対象から外されてしまうこともあります。
あらかじめ確認しておかなければ、支払うべき税金が増えてしまう可能性もあるでしょう。
トータルで損をしないためにも、扶養控除についてしっかりと学んでおくことがおすすめです。
年収が103万円を超えると扶養控除から外れる
バイトとして稼いだ給与所得が年間103万円を超えると、扶養控除を受けることができなくなってしまいます。
扶養控除が受けられなければ結果的に扶養者の支払う税金が多くなり、収入を圧迫することになってしまうでしょう。
これがいわゆる「103万円の壁」と呼ばれるもので、バイトで働く際には1つの基準として使われているのです。
バイトでたくさんお金を稼ぎたいと思う人は多いでしょうが、扶養控除のことを考えると中途半端な増額はむしろマイナスとなることもあります。
もし103万円を超えるほど稼ぐつもりなら、扶養から外れても生活に支障がでないように調整するようにしましょう。
年収が130万円を超えると健康保険の被扶養者からも外れる
103万円の壁とは別に、アルバイトは130万円という基準も意識して働く必要があります。
給与所得の年収が130万円を超えると、今度は健康保険と年金の被扶養者からも外れることになってしまうのです。
被扶養者でなくなれば健康保険と年金の支払いは自分で行わなければならず、その分の手取りが減ってしまうことになります。
その負担はとても大きなものとなるので、扶養控除を受けていたときよりも生活が苦しくなるかもしれません。
計画的にあえて扶養から外れるのでないかぎりは、130万円を超えないような働き方を意識するといいでしょう。
働きすぎないこともときには大切
お小遣いを増やしたいから、もっと仕事の経験を積みたいから、そんなときはバイトのシフトを増やすことを考えるかもしれません。
しかし無計画に働いて収入を増やすと、税金の支払いに追われることになる可能性があるのです。
特に今現在被扶養者である学生や主婦・主夫の方々は、給与所得をコントロールすることが節税のポイントになるでしょう。
働きすぎないこともときには大切なので、この機に家族と税金について話し合ってみるのもおすすめです。
世の中には正しく利用をすることで、生活にプラスとなる制度がたくさんあります。
この機に自分にとって1番得となる働き方を考えて、日々のバイトを見直してみてはいかがでしょうか。