辞表・退職届・退職願と、バイトを辞めるときに関係してくる書類にはいくつかの種類があります。
しかしこれらの特徴はあまり詳しく知られていないため、辞めるときに提出すべきなのか、それとも何もしないでいいのかを判断するのが難しくなっているのです。
またそれぞれの違いを知らないと、辞めるときの流れなどがわからなくなることもあります。
万が一バイトを辞めなくてはならなくなったときのためにも、辞表・退職届・退職願の特徴はチェックしておきましょう。
何らかの理由によってバイトを辞めるとき、多くの場合いくつかの手続きを取らなければなりません。
辞表や退職届の提出もそのひとつで、バイト先のルールによってはそれらの存在を受理されてはじめて辞めることができるパターンもあります。
しかし辞表・退職届・退職願の違いや提出方法は広く知られているわけではないため、いざバイトを辞めたいときには戸惑うことになるかもしれません。
そこで今回はバイトを辞めるときには何が必要なのか、どんな手続きが求められるのかをチェックしてみましょう。
「辞表」、「退職願」、「退職届」の違い
バイトや仕事を辞めるときによく聞かれるのが、「辞表・退職届・退職願の提出」です。
どれも仕事を辞める意思表示に使われることは想像できますが、それぞれが持つ意味の違いまではわからないという人が多いでしょう。
まずはこの3つの違いを把握して、バイトを辞めるときに必要とされるものがどれになるのかを、事前に確認してみてください。
不要なものを用意してしまえばそのぶん時間と労力が無駄になるので、スムーズにバイトを辞すためにも基本的な知識として違いを知っておきましょう。
辞表とは?
辞表は主に仕事における役職を持つ人が提出するものであり、一般的なアルバイトが使うものではありません。
仕事上の特別な事情がない限りは、辞表の作成と提出が求められることはないでしょう。
逆にいえば役職を持つ人にとっては辞表が辞めるときに欠かせないものとなるので、将来に備えてその意味を覚えておくといいですね。
また公務員が辞める場合にも辞表が求められるため、合わせてチェックしておきましょう。
退職願とは?
退職願とは、「このバイトを辞めたいです」という気持ちを示すために使われます。
「退職願を提出した=辞められる」というわけではないため、その点は注意しておきましょう。
退職願で自分の意思を伝えた後、あらためて退職届を提出してバイトを辞めるという流れが、一般的なものだといえます。
退職願を出す前にいきなり退職届を出すことは失礼とされることもあるため、まずは退職願の方から準備するようにしましょう。
また退職願は後から撤回することもできるので、万が一残りたいと思ったときでも安心です。
バイト先から話し合いや条件交渉を求められることもあるため、退職願を出す段階ではさまざまなパターンを考慮しておくといいでしょう。
退職届とは?
退職届は実際にその仕事辞めるときに必要なものであり、自分の意思を決定する書類となります。
この退職届が相手に受理されることで、労働契約の終了が約束されることになるのです。
基本的に一度退職届が認められてしまえば、その後心変わりしたとしても撤回はできません。
重要な提出物となるので、本当にバイトを辞めても大丈夫かどうかよく考えておくのがおすすめです。
またアルバイト先としては形式上の手続きとして、とりあえず退職届の提出を求める場合もあります。
バイトを辞めるときに提出は必要?
アルバイトという雇用形態なのに、正社員と同じように退職願や退職届を提出する必要があるのかと、疑問に思う人もいることでしょう。
退職願を用意するにはそれなりの労力が求められるので、できるならそういった面倒を避けたいと考えることが多いかもしれません。
実はバイトが辞めるときの手続きには明確な基準やルールがなく、それぞれの職場の方法に任されていることがほとんどです。
そのため必ず何かしらの届けを求められることもあれば、特に何もいらないという両方のパターンが考えられます。
口頭でOKのバイトがほとんど
バイト先の多くは退職願や退職届を提出しなくても、口頭だけでOKということがほとんどとなります。
「辞めます」と自分の口ではっきりと伝え、それが認められれば、その段階で辞職が成立することが基本です。
従業員の入れ替わりが激しいバイト先や、個人経営の職場などは、特に口頭で十分という場合が多くなります。
口頭で辞意を伝えた後は「○月の○日までは働く」といった形で、辞める際の条件を話し合うことになるでしょう。
しかしときにはその点が曖昧になってしまい、なかなか辞めさせてくれないバイト先もあります。
ズルズルと引き延ばされるようならば、あらためて口頭で辞めることを伝えるか、退職願等の準備が求められるでしょう。
辞めるときの流れがきっちり決まっていることもある
口頭で辞意が受理されるバイト先がある一方で、一部の職場では辞めるときの流れやルールが明確に決められていることがあります。
その場合は口で直接辞めることを伝えた後、バイト先の指示に合わせて退職願や退職届を提出することになるでしょう。
必要書類に不備があればそのぶん辞めるまでに時間がかかることになるので、バイト先や上司からの説明をきちんと聞くことは忘れないでください。
こういったきっちりとした職場は面倒に感じるかもしれませんが、退職時のマナーや退職届の書き方などをレクチャーしてくれることもあるので、将来に役立つ経験を得られるかもしれません。
「仕事を辞めたいけど辞め方がわからない」といった状態になることを防ぐことにつながるので、もし辞め方に厳しいバイト先だった場合はむしろその環境を上手に利用することを考えていきましょう。
まずは辞めるときの手続きを聞いてみる
基本的にアルバイトの辞職は口頭だけで問題ありませんが、自分の働いているバイト先が上記のどちらになるのかは、実際に聞いてみなければわかりません。
バイトを辞めることを考えているのなら、まずは手続きの方法を確認することからはじめてみましょう。
相談という形を取れば、それほど気まずい思いをすることなく辞めるまでの流れを知ることができます。
「辞めたいです」ではなく「もし辞めるとしたら……」くらいのニュアンスで、上司や先輩といった事情に通じている人に話してみることがおすすめです。
提出するタイミング
退職願や退職届の提出が必要だとわかった場合、次に問題となってくるのが「提出のタイミング」です。
いつ提出すればいいのかがわからないと、具体的なスケジュールを立てることが難しくなり、辞めた後の生活にまで影響が出てしまいます。
場合によってはトラブルにも発展しかねないので、提出のタイミングはなるべく正確に知っておくことが望ましいでしょう。
基本的にはバイト先に指示されたタイミングで提出する
基本的に相手に指示されたタイミングで提出すれば、受理から辞職までスムーズに事を運ぶことができるでしょう。
期日が設けられたならその通りに、特に何も言われなかった場合はなるべく早く提出を行うように心がけてください。
一方で退職願の場合は、基本的に自分が辞意を決めたタイミングであれば、いつ提出しても問題ありません。
退職の希望日を記載して提出すれば、後はバイト先が判断してくれるでしょう。
退職届を受け取ってもらえないことはあるの?
人手が足りない、あなたという人材を手放したくない、そういった理由からバイト先に退職届を受け取ってもらえないということもあり得ます。
場合によってはそのまま時間が経過して、辞めるという気持ちが中途半端になることもあるため、事前に対応を考えておく必要があるでしょう。
退職届を受け取ってもらえないのなら、労働者は自分自身を守るために次の行動に移ることが求められます。
そのまま泣き寝入りしたり、バックレたりすることのないように、正しい対応で大人な退職を実行していきましょう。
法律では2週間前の通知で問題なし
民法627条1項によれば、労働者はいつでも職場に対して労働契約の解約を申し入れることができるとされています。
特に契約の期間が設けられていない場合は、解約の申し入れ後2週間が経過すれば、仕事を辞めることができるのです。
つまり一般的なアルバイト契約であれば、退職届を提出して2週間後には、相手が受け取っていなくても辞めることが可能となります。
この場合退職届を提出したタイミングを明確にすることがポイントとなるので、内容証明郵便を利用したり、日付のわかるメールを送信したりして証拠を残すようにしましょう。
もちろん2週間後に黙っていなくなるとトラブルになりかねないので、「こういった法律があるので○日には辞めます」といった形で、交渉をすることからはじめてみてください。
就業規則があるのならそれに従う
バイト先の就業規則のなかに退職届や退職願に関する項目があるのなら、それを基準にして正式に辞めることが可能となります。
「退職届は○日前までに提出する」といったルールを守りさえすれば、例え上司が退職届の受け取りを拒否したとしても、問題なくバイトを辞められるでしょう。
常時10人以上の労働者を必要とする職場であれば就業規則は作られているはずなので、まずは内容を確認してみてください。
就業規則はその会社で働く際の基本ルールとなるため、就職のときには毎回チェックする癖をつけておくことがおすすめです。