アルバイトでも休憩時間に関するルールがあり、基本的にはそれに合わせて仕事中も休憩を挟まなければなりません。
長時間アルバイトをする場合は、定められている休憩時間のシステムを理解して、正しい形で働けるように備えておきましょう。
アルバイトでも労働する時間によっては、適宜 休憩時間を取らなければなりません。
しかしバイト先の環境や独自のルールのせいで、法定通りに休憩ができていない人も多いようです。
休憩はアルバイトに認められている正当な権利であるため、遠慮することなく取得すべきもの。
まずは基本的な休憩時間のシステムを把握して、正しい休憩を取り入れていきましょう。
アルバイトの休憩時間について
正社員とは違った労働形態となるアルバイトには、「休憩時間がないことも珍しくない」というイメージを持つ人もいるかもしれません。
実際には労働に関する契約内容によって休憩の有無は変わってくるので、最初に基本を確認していきましょう。
アルバイトにも休憩時間がある
前提条件として、アルバイトにも休憩時間の付与は義務づけられています。
正社員、パート、アルバイトといった雇用形態に関わらず、基本的に労働をする場合は休憩する権利があると理解しておきましょう。
休憩は肉体的・精神的な疲労を治し、仕事のモチベーションが維持できるため、労働には欠かせない要素です。
クオリティの高い仕事をするためにも、休憩時間を有効に利用することを意識していきましょう。
労働時間によって休憩時間が異なる
休憩時間は労働時間の長さによって異なり、以下のような内容で変化します。
【8時間以上】1時間の休憩
【6時間以上8時間未満】45分の休憩
【6時間未満】休憩の必要はなし
例えば8時間の労働の場合、4時間働いて1時間の休憩を挟み、また4時間働くといったスタイルが可能となります。
1時間の休憩をまとめて取得しなくてはならないわけではなく、30分の休憩を2回でも問題ありません。
休憩は労働の途中に与えられなければならないので、「8時間働いた仕事後に1時間休憩させる」といった方法は違法です。
アルバイトの休憩時間は給与が発生しない
アルバイト中に休憩をしている時間は、給与の支払いが発生しません。
仮に9時~18時のバイト募集であっても、そのうちの1時間は休憩に使われるため、給与に反映される実労働時間は8時間分となります。
休憩時間を入れて時給換算をしてしまうと、実際に受け取る金額が少なく感じられるかもしれません。
あくまで休憩時間は労働時間外として扱われることを、しっかりと確認しておきましょう。
休憩時間は業務から離れている時間を指す
休憩時間の定義は、「業務から離れている時間」となります。
例えば、お店の用事で職場から遠ざかることがあっても、その間は労働時間として数えられます。
休憩時間中は業務に関わる必要はないため、電話対応や雑用もする必要がありません。
休憩している最中に簡単な仕事を頼まれた場合などは、休憩を理由に拒否しても問題はないのです。
待ちの時間やトイレ休憩は、給与が支払われる
業務から離れている時間、例えば「お客さんがいない待ち時間」や「トイレの使用時間」は含まれません。
これらの自然発生的な理由は労働時間の中に換算されるものなので、休憩とは分けて考えられるでしょう。
ただし休憩に入る時間が明確に決まっていない場合、「お客さんの少ないうちに休憩を取ってほしい」と頼まれる可能性はあります。
双方が納得した場合は問題ありませんが、もし不満に感じるのなら、あらかじめ休憩の時間はお店側と相談しておきましょう。
アルバイトでも休憩時間を要さないケース
アルバイトとして働いている場合でも、労働内容によっては休憩が適用されないケースもあります。
100%休憩時間が存在するわけではないので、事前に自分の働くパターンと照らし合わせておきましょう。
「断続的な宿日直勤務」が適応される場合
労働基準法の旅行規則23条によって、宿直の仕事をする場合は休憩時間が発生しないことがあります。
宿直とは、夜に勤務先へ泊まることが前提の勤務。日直は、日中丸々働くことが前提の勤務です。
宿直、もしくは日直で断続的な業務をする際には、休憩時間の適用が外される可能性があるのです。
例えば日を跨いで働くことが多い介護職や病院勤務では、アルバイトであっても休憩時間が与えられない環境となるかもしれません。
勤務時間が6時間以下の場合
全体の労働時間が1日6時間以下となる場合は、休憩を取る義務が発生しません。
6時間通して働いて、そのまま帰宅するといった労働スタイルが一般的なものとなるでしょう。
休憩時間がもったいないと感じる人や、中途半端に休憩するよりも仕事を終えてしまいたいと考える人は、6時間以下で働ける職場がおすすめされます。
アルバイトで休憩時間を取ることは得なのか?
アルバイトにとって休憩時間は、その後の仕事をスムーズに行うための大切な準備となります。
しかしがっつり稼ぎたい場合には、休憩時間が無駄に感じられることもあるでしょう。
休憩時間は肉体的・精神的にはメリットであっても、給料的にはデメリットになることもあるのです。
自分にとって休憩時間をどのように取得すればメリットとなるのか、バイトを始める前に考えておきましょう。
6時間勤務の方が得をする可能性がある
アルバイトの募集要項を見てみると、「10~18時まで勤務」といった表記を見ることがあるでしょう。
しかし前述した通り8時間労働には1時間の休憩が義務付けられているため、この時間帯を例にすると「実労働時間が7時間」「拘束時間が8時間」となります。
つまりはフルタイムで働く場合、最低でも8時間は職場に居続けなければならないのです。
7時間勤務の場合は45分の休憩が必要なので、「10~17時まで勤務」では「実労働時間が6時間15分」「拘束時間が7時間」となります。
8時間に達しない労働時間は、ややもったいない時間の使い方となるかもしれません。
一方で6時間勤務では「10~16時まで勤務」の場合でも休憩が必要ないので、「実労働時間が6時間」「拘束時間も6時間」となります。
職場にいる時間すべてを時給に換算することができるため、効率良く稼ぐことができるでしょう。
仮にこれらの労働時間を1000円の時給で計算すると…
【8時間勤務(内1時間休憩)】7000円
【7時間勤務(内45分休憩)】6250円
【6時間勤務(休憩時間なし)】6000円
となります。
6時間勤務の場合、休憩しなかった時間を別のバイトや副業に利用することができるため、総合的な給与が高くなる可能性があるのです。
ダブルワーク等で働き方を工夫することができ、休憩時間がなくても問題なくバイトができる場合には、6時間勤務の方が得となるかもしれません。
特に6時間以上8時間未満のバイトと比べると、6時間以下で働く方がメリットが大きくなるでしょう。
アルバイトで休憩時間を取らせてもらえなかったら
アルバイトとして勤務し、6時間以上の労働を行っているのなら、誰でも休憩時間を取得する権利があります。
しかしバイトの中には忙しさや人手不足を言い訳にして、休憩を取らせずに働かせることもあるのです。
アルバイトであっても、雇い主の違法な働かせ方に従う必要はありません。
もし休憩時間を規定通りに取得できない場合には、何かしらのアクションを起こす必要があります。
休憩が取らせてもらえない場合は相談を
休憩時間が取得できないのなら、その会社の上司や担当部署に連絡し、改善を要求する権利があります。
まずは身近の相談しやすい人に、休憩時間が取れていない事実を伝えることから始めましょう。
それでも改善が見られない場合には、労働基準監督署への連絡が考えられます。
休憩時間が故意に取得できない環境は違法となるので、労働基準監督署へ伝える正当な理由となるのです。
相談は無料で行えるため、問題が解決しないときには労働基準監督署を頼ってみるといいでしょう。
休憩の不正が発覚した場合、労働基準監督署から指導が入る
バイトの職場で休憩が与えられていないことが確定すれば、労働基準監督署からバイト先に調査や是正勧告が行われます。
改善されなければ6か月以下の懲役、もしくは30万円以下の罰金がペナルティとして雇い主に科せられるのです。
休憩時間が取れないときには、労働基準監督署への連絡を行うことが解決への道となるでしょう。
上司や会社への相談だけでは変わらなかった場合には、労働基準監督署へ持ちかけることを検討してみてください。
アルバイト先に休憩時間があるか事前確認することも大切
アルバイト先の中には、独自のルールやスタイルで、休憩時間を規定しているパターンもあります。
きちんと休憩時間が取れるのか、逆に必要のない休憩を取らされることがないのかを、就職する前に確認することがおすすめです。
休憩時間が曖昧な職場は、それ以外の部分もいい加減になっている可能性があります。
正しい労働環境の下で働くためにも、事前に休憩時間の有無を確かめておくことが、バイト選びのひとつのコツとなるでしょう。
面接や電話で事前確認を
バイトの採用面接の段階で、休憩時間の有無や取得条件について確認しておくと就職後もスムーズに働けます。
入社してから休憩の取得で揉めないためにも、はっきりと担当者からルールや環境を聞き出しておきましょう。
どうしても気になる点があるのなら、応募前に電話で確認するのも手です。
すべての職場が休憩時間の適切なスタイルを理解しているわけではないので、事前確認は徹底しましょう。
まとめ
アルバイトの応募時には、時給や交通費といった項目ばかりに意識が集中しがちです。
しかし休憩時間もアルバイトを続けるための重要なポイントになるので、正しいルールや権利について知っておくことがおすすめされます。
自分にとって働きやすい環境を実現するためにも、休憩時間の有無や取得の義務を学び、適切な労働スタイルを確立していきましょう。